当番弁護士

当番弁護士制度とは、刑事事件で逮捕された場合に、各地の弁護士会に一度だけ無料で面会を求められるというものです。
一般の方は、突然逮捕されたとしても、その後、自分がどうなるかもわかりませんし、黙秘権といった基本的な権利についても詳しくは知らないことがほとんどです。
このような状況を踏まえ、各地の弁護士会が逮捕された被疑者(容疑者)に今後の手続きや権利について説明するために弁護士を派遣しているのです。

各弁護士会に所属する弁護士は1年の内、何日かを当番待機日として割り当てられています。
容疑者から、当番弁護士の求めがあると、警察や裁判所は弁護士会に連絡をして、弁護士会から当番弁護士に電話FAXにより出動命令がでます。

当番弁護士の利点は、初回の面会が無料なため気軽に呼べるということです。
弁護士の知り合いがいなくとも弁護士からアドバイスを得ることができるので有用な制度と言えます。

もっとも当番弁護士制度も万能ではありません。
欠点の一つは迅速性に欠ける場合があるということです。
痴漢事件に限らず刑事事件では早期に弁護士と面会することが必要です。
しかし、当番弁護士を呼ぶ場合、あいだに警察や弁護士会を挟むため呼んだからといって即座に来てくれるというわけではありません。
私の当番弁護の経験でも当番待機日の午前中に出動命令が出てすぐに警察に面会に行ったのに被疑者が当番弁護士を呼んだのは前日の昼過ぎだったということがありました。つまり当番弁護士を頼んでから24時間近くたっているのです。幸いその事件は、自白事件で内容も軽微でしたから弁護活動に問題はありませんでしたが、痴漢の否認事件や冤罪事件、重大事件、即座に身体解放を求める必要が極めて大きい場合などは、命取りになりかねません。

また、弁護士を選べないということも欠点の一つです。
当番弁護士の場合、面会に来るのは、あくまでその日が待機日となっている弁護士でしかありません。来た弁護士と相性が合うとは限りません。

ただし、たとえ相性が合わないとしても逮捕された状態で弁護士をつけないよりはずっと良いです。自分が逮捕されて、弁護士の知り合いがおらず家族に依頼を頼むこともできない状況では必ず当番弁護士を呼びましょう。

なお、時々、当事務所にも国選弁護人や当番弁護士に依頼をしているが、私選で別の弁護士に替えた方が良いかという問い合わせをいただきます。
当事務所では基本的には、こういったご依頼はお断りしています。
理由としては刑事弁護には迅速性、一貫性が大切であり弁護士の交代などで時間が取られることは依頼者にマイナスとなると考えるからです。
また、こういったご相談をいただく場合も、特に国選弁護人に問題があるといったケースは少なく、単にコミュニケーションが不足しているだけというような事例が多いとおもわれるからです。
もちろん本当に問題のあるケースについては、交代に対応している弁護士を探す必要があるでしょう。

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